「あ〜、いいよいいよ。俺、さっきも匠と話したし。それに今…、翠央ちゃんと一緒に部屋の中に入って行ったら、匠の感情…逆撫でしそうだから遠慮しとくよ。じゃあね!」


「えっ……先輩…!」


留羽先輩は手を振ると、さっさと帰って行ってしまった。


部屋の前でポツンと一人残された私……。


制服のポケットから鍵を取り出したものの、鍵穴に差し込む手が緊張で震える。

感情を逆撫でするってことは、匠先輩…怒ってるのかなぁ…?


もしかして、昨日来れなかったから…?


ど……どうしよう?

もうここまで来ちゃったら、どうしようもないけど…。