「ころすは知ってる。人が人の人生を奪うことでしょ?」

「…ははっ。小さいのによく知ってるな。そのとおり……人が人の命を奪うことだ」

シオンは苦笑しながら、そう答えた。
少年の言葉はシオンの心に深く突き刺さった。まるで、自分に言われているみたいだったから。

刀を持っている。
つまりは、シオンもまた人の命を奪ったことのある一人なのだから。

「でも、なんか違う気がする」

「……は?」

「よくわからないけど、誰かに言われたのかもわからないけど…刀は殺す道具じゃなくて守る道具だと思う」

「守る…?」

シオンが聞き返すと、少年は縦にうなづいた。

「お前……っと、いつまでもお前じゃ失礼だろうから、名前つけていいか?」

「……うん!」

突然のシオンの提案だったけど、少年は力強く頷いた。

「よし、お前はアスラだ」

「アスラ…アスラ…僕の名前はアスラ…!」

「そうだ…ところでもう一人はどうした?」

「外だよ。あの人の名前は決めたの?」

「あぁ…インドラだ」

「インドラ…アスラ…シオン……うん、覚えた!!」

「んじゃ、インドラを迎えに外に行きますか」

シオンがそう言い、手を差し延べた。
アスラはそれを迷うことなく取り、一緒に外へと出た。