知らないものに囲まれた自分。

知っているものなんてなにひとつなかったけど、不思議と不安はなかった。

逆にわくわくして、とても幸せな気分になれたんだ。

だから、僕は神様に感謝した。
いるかどうか不確かな存在だけれど、それでも言わずにはいられなかった。

だから、どうかこの幸せが永遠でありますように……。








「シオン、あれ何?」

「呼び捨てかよ」

それは二人の少年を拾ってきてしまった次の日のこと。

一人の少年がそう聞いてきた。

「あれはテレビ」

「てれび……じゃあ、あれは?」

「あれは網」

「あみ…じゃああれは?」

そして次に少年が指さしたのは、部屋の片隅に飾ってあった一つの刀だった。

「……あれは、刀だ」

少し躊躇いながらも、シオンは答えた。

「かたな……何するやつ?」

「おまっ!?……なんでこうゆうのに限って使い方聞くんだよ…」

「気になるから。なんか……とても大切なことを思い出せそうなんだ」

少年はそう言ったが、この小さな少年に言うべきか迷っていた。

「シオン」

少年が名前を呼ぶと、シオンは大きなため息を吐いた。

「…殺す道具だ」