「病院に搬送されてからもずっとそう言ってたって…。看護師さんから聞いたの。だけど、大翔くん私たちが来る前にもう帰ってたみたいだから…」
海の両親にどんな顔をすればいいかわからなくて、俺は…逃げたんだ。
「なんで”愛してる”じゃなくて”愛してた”だったのかってずっと考えてたんだけど、今日あなたと話してみてわかった…。きっと海はあなたが自分を責めて、いつまでも前に進めないことをわかっていたのね。それでも…あなたに生きていてほしかったんでしょうね」
そう言ったおばさんの目には涙が溜まっていた。
俺はその場に泣き崩れた。
何も考えられなかった。
俺はずっと前に進むことが怖かった。
海をあの日に置いていくことだけはどうしてもしたくなくて。
海がそれを望んでいないのはわかっていたけど、どうすればいいかわからなかった。
今日だって、前に進もうと思ってここに来たはずなのにこんなに情けない。
おばさんだってきっとずっと辛かったはずだ。
苦しんでたのは俺だけじゃない。
だけど、みんな悲しさを思い出に変えて前に進んでいた。
俺はずっと逃げてるだけだった。
俺は海を悲しい記憶として思い出さないようにして…。

