【完】冷徹仮面王子と姫。

 どうにか思考を体内に仕舞い込めないだろうか。


 何を考えても見破られているとしたら、氷室君のことばかり考えている普段も全て見透かされていることになる。



「誤解解く方が、先だろ?」


「……でも」


「あいつらがあいつらがって言って、意地張ってんだろうが。瀬能だって山浦のあの姿見てんのに、上手く事が運ぶわけねぇし」



 意地。


 本当、だ。あたし…二人が二人がって言って、本当は。


 謝りたくない自分がいたのかもしれない。



「…両想いそうだし」


「ええええええええええっ!!?」



 さり気なく耳を塞いだ氷室君に、両手を合わせて謝る。



「ごめん、大丈夫?」


「耳元で叫んでるんじゃねぇ…それより行かなくていいのか?」