【完】冷徹仮面王子と姫。

「……いいのかよ」



 屋上についての第一声を発したのは、今までで初めて氷室君だった。


 一瞬だけ何のことか分からなくて、え?と小さく聞き返した。



「山浦」



 いいわけではないけど、これはあたし一人の問題じゃないから。


 あーちゃんがせめて瀬能君とうまくいってくれれば。



「よく、無さそうだけど」


「そう…かな?」



 どうして分かるのだろう。


 あたしは氷室君のこと、全然分からないのに。



 コンマ何秒で視線を外す。