【完】冷徹仮面王子と姫。

 知っている声だと気づく。


 それも、大好きな声。



 ゆっくりと顔を上げると、正面にいた。



「氷室君……」


「お前大丈夫か?……もう昼」


「え?もう?」



 眠っていたのか単にボーっとしていたのかも不確かだった。



「腹減った」



 さり気なく催促しているのだろうか。


 むしろそれも救いで。



「…そだね」



 いつも通り、二人分のお弁当。


 振り返るとあーちゃんは、クラスのほかの女の子たちとご飯を食べている。


 考えたこともなかった。あたしがいない間にあーちゃんは、他の子たちとも関わりを持っていたんだ。