【完】冷徹仮面王子と姫。

「あーちゃん……っ」



 どれ程話しかけても、無駄だと悟った。


 本当に社交的から世界一遠いところにいるあたしは、あーちゃん以外にクラスで話せる子なんていない。


 瀬能君となんて話せるわけないし、氷室君には。



 頼れないよ。



 一人ぼっちなんて、ウサギだったら今頃死んでる。


 顔を上げていることすら耐えられなくなって、机に突っ伏したところで殆ど頭上から声が降ってきた。



「及川」



 このクラスであたしに話しかけてくれる人なんて、今はいないはず。


 幻聴だ、と思おうとした。


 だけど。



「……及川」



 また声が、降ってくるんだ。