【完】冷徹仮面王子と姫。

 そして次の日。


 どうすれば自然にアドレス交換ができるだろう。あーちゃんから瀬能君に聞いてくれれば一番助かる。


 アドレスくらい普通に聞く、と言っていたはずのあーちゃんなのに。なぜ瀬能君に限って知らないのか。


 昨日受け取った、瀬野君のアドレスの書いてあるメモとにらめっこを続けること二、三分といったところだった。



「一香っなーに見てるの?」


「わぁっ」



 半ばパニックに陥りながら、あたしはそのメモを隠す。


 違う、隠そうとする。



 あたしの非常に残念な瞬発力は、あーちゃんがそのメモに気づくまで、隠すことができなかった。


 不自然すぎた。あたしの非演技派さは表彰級だ。



「……何隠したの?」