顔を上げなくとも、彼の驚きが聞いて取れる。それ程の衝撃を与えたということなのだろうか。



「だから…土曜、帰れって言わないで……どっか行くかって、言ってくれて」



 つぎはぎだらけで、不格好なあたしの言葉を、黙って聞いてくれることも、また。



「嬉しかった―――」



 保健室が、静寂に包まれた。あたしがしゃくりあげる声が、次第に大きくなる。


 彼は、震えるあたしを突然抱き寄せて。



「あんま泣くなよ。俺が辛い」



 その言葉は、体温は、優しい。


 包まれた安心感は計り知れず、あたしの頭の中は一瞬真っ白になる。