【完】冷徹仮面王子と姫。

「大丈夫だよ!」


「…や、本当すげえ表情」


「えええっ」



 それほどひどい…否、すごい顔を見られていただなんて、もうショックでしばらく顔を合わせられない。


 更にはショーも進んでいて、この傷は倍どころか、五倍くらいには増えてしまった気がする。


 あたしの周りの暗黒オーラは、とうとう収集がつかなくなってきている。


 このせいで更にショーの進行についていけなくなってしまった。


 そのため数分間、あたしは今日一番子供のように、駄々をこねた。こねながらも、館内を回る。


 次のショーまでここにいたいというあたしのその駄々はあっけなく却下され、投げかけられた言葉。



「じゃぁ一通り見終わったし、帰るか?」



 確かに、すでに一周し終わっている。しかし、あたしのわがままが完全に無かったことにされたことだけは、どうにも納得がいかない。


 ……だけど何よりも、これで今日一日が終わってしまうというのが、淋しく感じられた。