【完】冷徹仮面王子と姫。

「何浮かれてるの」



 あまりの嬉しさに、つい顔に出してしまっていた。丸出しだった。


 そんなあたしに、あーちゃんは微笑んで質問。



「何かいいことでもあったの?」


「うんっ」



 ここまでの喜びを味わうと、もう自分は駄目だと思った。


 今ならこの幸せを人に分けてもいいとさえ思える。



「ここまで浮かれるなんて、何があったのか気になるわね…まぁ、珍しいわけでもないけど」



 答えようと口を開いた時、氷室君が視界に。少しよく見れば、あたしのほうを見ている。


 口元に人差し指を添える、その仕草の意味はきっと、「言うな」。


 だけど彼の目は、いつもよりどことなく優しく見えて。


 ドキドキして、顔が熱くなった。様になっていて、つい見惚れてしまう。


 とりあえず、答えてはいけない。それだけは理解できた。