「…奈留?どうかした?ボーっとしちゃって」


ふいに美希ちゃんに話しかけられて、自分の世界に入っていたことに気がついた。


「…大切なことを…ね。思い出してたの」


「大切なこと?」


「うん。大切なこと」


私と翔の始まりを…


すると美希ちゃんは笑って言った。


「そっかぁ。よかったね」


「うん」


本当に…ね。


私、少しだけ忘れちゃってたよ。


でももうこの日のことは忘れないから…


思い出は私の生きてるっていう証だよ。