そのころ…私の知らないところでこんな会話があった。






・・・


「お母さん、お父さん、翔君。いきなりなんですが…。この先、何があっても奈留ちゃんを“支えていく”と言えますか。病人は人の支えがないと体も心も死んでしまいます。“支えていく”と誓えた人しかそばにいてはならないと思うのです」


「はい」


「みなさん…誓えますか?」


「もちろんです。誓えないと母親失格です」


母が初めに口を開いた。


「私もです。誓います」


父も言った。


そして…翔も。



「…俺も。奈留が、がんなんて考えらんねーけど…でも、絶対に精一杯、支え続けます」



父も母も翔もみんな井上先生に誓っていたのだ。


ただ一人、奈留はそんな事も知らずにいた…。