やば…泣きそう。


そう思ったときにはもう遅くて…



「ッ」


私は、涙を流してしまった。



「な、奈留ちゃん…」



先生が心配そうに顔を覗き込んできた。


「っ…大丈夫…です…すいません…っ」


「………じゃあ先生は戻るね。あ、みなさんも…」


「…あ、はい…」



お母さんとお父さんは、先生と一緒に部屋を出ようとした。

だけど、翔は部屋を出ようとはしなかった。


「…君にも話があるんだ。悪いけれど、一緒に来てくれるかい?」


でも翔は顔を歪ませながら言う。


「…俺…奈留のそばを離れたくないんです。そばにいたいんです…」





翔…





「ごめんね。翔君…だっけ?本当に、話しとかないといけないんだ」



翔は少し黙り込んで…

「…はい。分かりました」




ガララ





みんな出て行った。



一人でいる病室は、本当に、本当に静かだった。



もう…真夜中だもんな。
そりゃあそうか…





“病気”だって言われたのに、こんなこと考えてるなんて、変な感じだ。


…まだ…全然…実感が…ないんだよ…


死ぬかもしれないなんて、信じられないんだよ…