・・・


先生が私の病室に来たときには、もう頭痛はおさまっていた。


「奈留ちゃん、大丈夫?」

「はい…今は」

「…これからも、こんなことがしょっちゅうおきる」

「…はい…」

「それを耐え抜いたら…きっと…きっと…!奈留ちゃんはがんに勝てるよ…!」



そのとき私は思った。


…がんはそんなに簡単に治るものなの?

そんなに簡単に“がんに勝てる”なんて、言っていいの…?


…でもこんなこと、口に出して言えない…


「…はい。がんばります」


本当はそんなこと、思ってないのに。


…私、死ぬのかなぁ…。


“死ぬ”なんて、まだ全然実感ないんだけど…


私、まだまだやりたいことあったのに。


まだ16歳だよ。


まだ高校生満喫してないよ。


それにそれに…私の将来の夢は…翔の…お嫁さん…に…なることだったのに…。





…この夢は、たぶん叶わないだろう。


私まだ高校生だし。


がんが治るかわかんないし。




…翔と結婚したかったのにな。


ほんとに、ほんとに、大好きだから____