・・・

あれからどれだけの時間がたったんだろう。

私は翔の胸の中で泣き続け、翔は私をずっと抱きしめてくれていた。



私もそろそろ泣きつかれてきた。


「奈留、おちついた？」

「ん…ありがと…」

「じゃあ、おじさんとおばさん呼んでくるよ」


翔は絡んでいた私の手をそっと放し、立ち上がろうとした。


その瞬間、私は背中がぞくりとした。

さっきの恐怖が…戻ってきたかのように。



「っ！翔っ！！」


私は翔に抱きついた。


「わっ、ど、どうした？！」


「…いかないで…」


私は消えそうなくらい小さな声で言った。


「え？」


「いかないで…お願いだから…ここにいて…一人にしないで…」


「…奈留…分かった。おばさんたちには電話するか。奈留、番号分かる？」


「…うん…ごめんね…翔…？」


「なに？」


「ありがとう…」



私は心から翔に感謝をした。




「…うん」


翔は、はにかむように笑った。