「で。お前はなんで俺を睨んでたわけ?」
美咲ちゃんの小さくなった背中が曲がり角を曲がり、消えた時、佐久間先生があたしにそう聞いた。
まさかバレていたとは思わなくて、ビクッと肩を跳ね上がらせた。
なんだか怖くて、佐久間先生をみれない。
「……と、とこれで先生。なにか用があったんじゃありませんでしたっけ?」
「あったな。よし。先に言ってから後で問いただすか」
せっかくうまく話を逸らすことができると思ったのに……。
ため息をはきたくなった。いやそれより、走って逃げたくなった。
でも、運動能力が他の人よりも劣っているあたしが足の長い佐久間先生から逃げ切れる自信はなかった。
「お前、今日うちに来い」
……今度はいったいなんの呼び出しですか……。
.
