危険ナ香リ



 バカなのは先生じゃなくてあたしだ。


 自分で拒否したのに、後悔している。


 あの、温もりが消えた瞬間から、後悔して、すぐに手を引いた佐久間先生にイラついて。


 ……結局あたしは、触れてて欲しかったんだ。




「……へ」




 自分でぐいっと涙を拭くと、ポカンと口を開けてる佐久間先生の顔が見えた。


 その顔をしばらく見つめた。




 見つめてたら、なんだかだんだん冷静になってきた。




 怒鳴り散らして、そしてようやく泣き終えてしまったらしいあたしは、冷静になっていくにつれて、顔を赤く染めていく。


 な、なん、なんて言った!?

 あたし、なんてことを口にした!?




「あ、あ、えと」




 ようやく落ち着いてきたことに気づいたらしい佐久間先生が、瞬きをする。


 そして、ジッとあたしを見つめたあとに……意地悪っぽく微笑んだ。






「触るって、どこ触ればいいんだよ」






 すっかり触る気満々なご様子……!!


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