「いいんじゃないのか?そうゆうガキなところが個性ってやつだろ?」




 個性、かぁ。


 ……そんな個性、嫌だ。


 あたし、もう16歳だよ!?

 あと少しで17歳になるんだよ!?

 それなのにガキって……!

 まあ、ガキだけど。

 でもガキって言われたくないよ!


 ムッと唇を突き出しながら、黙って布団をたたみ始める。


 すると、なんでか分かんないけど、佐久間先生の手があたしの手に重なった。






「拗ねてんなよ」






―――― うひゃあ!?


 耳元でそう囁かれて、肩を上げて目をキツく閉じた。


 だって、佐久間先生の息が耳にかかって、くすぐったい……!


 身を引こうとすると、長い腕があたしの腰を掴んだ。


 驚く暇もなく、意地悪な低い声が、楽しそうに言葉を放つ。




「耳、赤いな」

「せ、せんせ。くすぐった……っ」

「なにお前。耳弱いの?」




 くすぐったくって、たまにぴくんと震えると、佐久間先生はその度に楽しそうな声をだす。


 こ、こんなとこ誰かに見られたらどうするの!?


 くすぐったさの中で、ひやひやしながらドアを気にするあたしだった。


 そんなあたしに気づいているのか、はたまた気づいていないのか。






「―― ひゃあ!」





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