「フルネーム、教えてください」
……はい?
予想もしていなかったその質問に驚き、パチパチと瞬きをする。
佐々木さんはにっこりと笑って、あたしを見つめている。
「……えっと、清瀬恭子、です」
「じゃあ血液型は?」
「え?え、ええっと、O型です」
「好きな食べ物とかありますか?」
「チョコレートとか、甘いものは全部好きですけど……」
「じゃあ、嫌いな食べ物は?」
「えっと、辛いものとかは全然ダメです」
……なんなんだろう。この会話。
全く予想もしていなかった質問攻めにあい、戸惑いながら答えていく。
その質問を聞いて、また次々に質問を投げかけてくる佐々木さん。
そうして質問を受けているうちに、だんだん慣れてきたのか。
戸惑いが徐々に薄れていく。
「犬とか好きですか?」
「はい。でも、大きい犬よりも小さい犬のほうが好きかもしれません」
「猫はどうですか?」
「可愛いですよね、猫。虎猫が一番可愛いと思います」
「じゃあ佐久間先生は好きですか?」
「はい。……って、え?」
い、今“佐久間先生”って言った……よね?
え、ちょ、あたし“はい”って答えちゃった!
どっ、どうしよう。
「どの辺がいいんですか?」
「え、ちょ、あの」
「やっぱり顔ですか?」
「え、えっと、あのっ」
「それとも上手だからですかね」
「じょ、上手……?」
「夜の営みのほうの話です」
「ぎゃーっ!!」
な、なんてこと聞くんだ!
佐々木さんのバカ!変態!
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