え、やばい、不意打ちだよ、こんなの。
ずるい。
だってあたし、まだ佐久間先生に会う勇気とか全然ないのに。
あう。
なんか、勝手に顔が赤くなってくんですけどっ。
「……清瀬先輩?」
「えあ!?」
「顔赤いんですけど……どうしました?」
「え、いや、なんでもないっ」
慌ててブンブンと顔と手を横に振った。
不思議そうにあたしを見つめる美咲ちゃんは今は全く気にはならなくて……。
あたしの視線は、またすぐに佐久間先生へと向かってしまった。
佐久間先生はあたしから顔を逸らして、口元を押さえていた。
……すいません。
なんで笑ってるんですか、佐久間先生。
「って。そうだ佐久間先生。ここまで送ってくれて、ありがとうございました」
「ん?ああ、いや。俺も職員室に用事があったから、ついでについてきただけだから感謝される必要はないよ」
……む。
佐久間先生、美咲ちゃんとちょっと仲良くなった……?
いや、確証はないんだけど、なんとなくそうなんじゃないのかなって思っただけなんだけど。
……でも、やっぱり仲良くなったようにしか見えない……。
「じゃあ、ちゃんと早退するって担任に伝えてから帰れよ」
「はい。ありがとうございました」
早退するんだ、美咲ちゃん。
そういえば、なんだかフラフラしてる。
「清瀬先輩、さようなら」
「あ。さ、さよなら」
フラフラしてるのに、笑顔はいつも通り可愛いままだ。
職員室に入っていく背中を見つめながら、“やっぱり羨ましいな”なんて思った。
「ってゆうか、お前、どんだけ顔赤くしてるわけ?」
「うぎゃあ!?」
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