“俺が清瀬を見てたのは、”




「……飛鳥くんは、」




 “清瀬が祐と美咲を見る時の苦しそうな顔が、美咲の顔と重なったから ――――”




「ただ、美咲ちゃんとあたしを重ねてただけなの」




 ……誰もあたしを見てくれていない。


 あの、真っ直ぐに見つめてくる飛鳥くんの目は、あたしではなく、美咲ちゃんを見てるんだ。


 あたしを見てるわけじゃ、ないんだ。




「……え?でも、誕生日プレゼント、飛鳥からもらって」

「柚乃ちゃんから聞いたの?」

「ああ。それ聞いて、飛鳥は恭子のことが好きなんだと……」




 “清瀬のことが好きな祐に気づいて、付き合ってるのに片想いしてる美咲の顔に似てて……。なんとかしてやりたいなって思ってた”


 “誕生日プレゼントは、せめて清瀬に笑って欲しいなって思って渡したんだ”




 柚乃ちゃんも飛鳥くんがあたしを好きだって勘違いしてる。


 その原因は、やっぱり祐と同じように、あの誕生日プレゼントだと思うと飛鳥くんは言っていた。


 ……あたしが佐久間先生の家に行った、あの誕生日の時。


 アレが飛鳥くんからの誕生日プレゼントだといち早く気づいた柚乃ちゃんが、まずはじめに勘違いを起こした。


 それから美波先輩もきっと柚乃ちゃんから話を聞いて、同じ勘違いを起こした。


 それから、同じ家にすむ佐久間先生も勘違いを起こした。




「ねぇ、祐」

「ん?」

「祐は……柚乃ちゃんの好きな人って、知ってる?」




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