「清瀬。お前、また1人か?」 急に声をかけられたものだから、ドキッとして小さく肩を跳ね上がらせる。 モップをキツく握ってから振り向くと、見慣れた、白衣を着たその人がすぐ後ろに立っていた。 「み、みんな用事だそうです……」 換気のために開け放った窓から風が流れて、ふわりとタバコのニオイが香る。 そのニオイが嫌いだったから、廊下のモップ掛けだと見せかけて、廊下へと逃げた。 ……やっぱり、保健室の掃除、嫌だなあ。 .