危険ナ香リ



 ってゆうか、あたし先生と手なんか繋いで……!

 それより、ここどこ!?


 ……なんだか思わず色々考えちゃっているあたしは、結局最後には固まった。




「そんなに手繋いでたいのか?」




 ハッとして勢いよく手を離して後ずさりすると、窓に頭をぶつけた。


 ……な、なんか前にも似たようなことが数回あったような気が……。


 痛みに堪えるために頭を押さえるあたしを見て、佐久間先生は遠慮なく笑っていた。




「制服着てなくても、化粧してても、やっぱりいつも通りだな」




 ……佐久間先生こそ……っ。


 と、言いたかったけどそんな勇気もないあたしは、唇を尖らせ頭を押さえたまま、車から降りた。


 冷たい風を肌に浴びて、周りを見回す。


 そこは、あたしが知らない場所にあるショッピングモールのようだった。


 そういえば、少し遠くまでいくって言ってたっけ。




「行くぞ清瀬」

「え?あ、はいっ」




 呼ばれて、前を歩く佐久間先生の背中を慌てて追いかけた。


 広くて人がたくさんいるから、なんだか迷子になっちゃいそうで怖かった。


 だから、あたしにしてはいつもより、距離を縮めて歩いていた。




「なに欲しいか考えてたか?」

「それが全然……」

「じゃあ一通り見て回るか。欲しいものがあったら遠慮なく言えよ」




 佐久間先生は前を歩いたまま、長い足を動かす。


 あたしの短い足だと、追いつくにはちょっと早足になっていた。


 だけど前を歩く佐久間先生にそんなあたしの姿は見えないようだ。


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