「なんだよ。俺の顔になにかついてるか?」
「いえ。ただ、バカにしてこないんだなって思って……」
「……俺は普段お前の目にどんな風に映ってるのか、不思議でたまらない」
どんな風って……。
言うならば、意地悪な変態で不良で女たらしなロリコン養護教諭、です。
とはさすがに言えなかった。
でも、いい言い訳が思いつかなかったので、結局それにはなにも触れないことにする。
「おかしくない、ですか?あたし化粧なんて初めてで……。目とかいつもと違うし、唇のとかも違うし」
「おかしくない」
「ほ、本当ですか?」
「ああ」
ひとまず、バカにされなかったことと、おかしくないと言われたことに、ホッとして息をはいた。
「可愛いと思う」
……え!?
い、今のは空耳ですか!?
そ、空耳ですよね。うん。そうに違いないですよねっ。
「……あれ?先生、少し顔赤」
「あ。あんなところにお前の幼なじみが」
「っうええ!?」
佐久間先生が指をさした方向に勢いよく顔を向けた。
そしてその方向にいたのは、……ちょっと太めな体型をしたお兄さんだった。
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