とても、よく分からない返答だった。


 どうなる、って……それはあたしにも分からなかった。


 ただ、あたし自身は恥ずかしさに襲われるだろうってことは予想していた。


 けれど、それだけだった。


 強いて言うならば、あたしが美咲ちゃんの名前を出したとしれたところで、どうにもならない。




「わざわざお前が不利になる方に話を持っていくわけがない」

「……なんでそんなこと」

「俺は、安藤の味方じゃなくてお前の味方だから」




 顔を持ち上げると、佐久間先生があたしの横に腰掛けた。


 こっちを向いて微笑む姿に、少し、気持ちが穏やかになる。




 ……でも。




「……どうせ、みんなにそんなこと言ってるんだ」




 佐久間先生。


 あたしは佐久間先生が“馴れている”ってこと、分かってるんだよ?


 佐久間先生はそうやって、どんな女の子にも優しい言葉を投げかけてるんでしょう?




「言ってないよ」

「嘘つき」

「本当だ」

「だって、」

「ん?」




 掃除手伝ってくれたり、気の済むまであたしの好きなようにさせてくれたり。


 優しい人だと思う。


 ……だけど、あたしはどうしても佐久間先生を好きにはなれない。


 なぜなら佐久間先生はあたしの大嫌いなタバコのニオイを撒き散らしていて、不良で、ロリコンで。




「美咲ちゃんと、楽しそうに会話してたじゃないですか……」




―――― 女たらし。




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