深夜に雑考を書き留める為に端末を手に取る。

忘れない為と自分を見つめる習慣。

空いた隙間にまたモノを埋める。

親指一つで繋がる世界は限りないと思わせるに足る広さだ。

端末が零す灯りはほんのりと俺の顔を照らすが、その顔に明るさがない事は俺が良く知っている。

全てが詰まっている様に見えて、何一つ真実が見つからない憂鬱。

引き返すのが不可能な過去と、なまじ選り好み出来る立ち位置なは悩み出すとキリがない。

結果によって確定される真実は、如何に先回りで教えを受けてもそれは灰色。

濃淡の違う灰色が目前を埋め尽くし、過ぎる足元に黒と白の残骸が散らばる。

この灰色の見え方によって一喜一憂するんだろうが、もう俺の目には全てが同じ濃淡にしか見えない。

黒の主張と白の主張。隙間の窮屈に堪えたら、ついどちらかに染まりたくなる心理がポロリ。

この端末に詰め込むモノはあまりに多すぎて溺れてしまいそうだ。

暗い顔を照らす灯りに違和感を覚え、偽物の光を閉じよう。

今は月明かり位がいいかも知れない。
そう思うと、眠気が感じられそうな気がしなくもない。

過ぎる一日、積む歳月。
一貫性を大切に柔軟である事。

答えの無い問いは常に胸に。


あの月が見えてるかい?
俺も見てるよ。