王子様はカリスマホスト

唯菜を家まで送り届けると、俺はまた店に戻った。

と、ちょうど一樹さんがタバコを買って帰るところに出くわす。

「―――唯菜ちゃん、一人で平気なの?」

一樹さんの言葉に、俺は肩をすくめる。

「子供じゃありませんから。セキュリティーもしっかりしてるし」

「子供じゃないから、なおさら気をつけないと」

相変わらず意味深な笑みを浮かべる一樹さん。

俺はチラリと一樹さんを見た。

「あいつは―――まだガキです。あんまりちょっかい出さないでください」

俺の言葉に、一樹さんがちょっと目を見開き、くすりと笑った。

「心配しなくても、凛斗の大事なお姫様に悪さはしないよ。ただ、オオカミの群れの中にいるのに気付いてないお姫様は、ずいぶん無防備に見えるからさ、気をつけた方がいいと思っただけ」

「―――お姫様って柄じゃないでしょ、あいつ」

「そんなことないよ。彼女、かわいいし。あの店のホスト達はわりといい奴が多いけど―――それでも男には違いないし。あの辺はホストクラブも多いから、変なやつに目をつけられないように気をつけた方がいい」

真面目なんだかふざけてるんだかわからない一樹さんの口調に。

「―――わかってます」

そう言って、俺は頷いたのだった―――。

一樹さんの考えていることはわからなかったけれど―――

唯菜を、危険な目に合わせる気はなかったから・・・・・。