王子様はカリスマホスト

その日は少し起きるのが遅くなった。

3時ごろようやく目が覚め、シャワーを浴びる。

そして浴室を出たところで―――

1回から、声が聞こえて来た。

あれは―――千尋と、唯菜の声だ。

まさか―――

タオルを首にかけたまま階段を下りて行くと、案の定千尋と唯菜が言いあっているのが見えた。

―――何で―――確かに、千尋の奴2階で寝てたのに。寝ぼけて、トイレにでも起きた時にいつもの癖であの部屋に入っちまったか。

イライラしてると、つい口調がきつくなる。

唯菜が俺の言葉にカチンときて怒りだす。

「―――叔父さんに、鍵つけてもらう」

その言葉に、俺は内心ほっとする。

そうじゃなきゃ、俺が勝手につけてるところだ。

かっかしてる唯菜を部屋へ追いやり、千尋を連れてリビングへ行く。

「凛斗さんと全然似てないっすよね。ちっちゃくてかわいいっすけど」

別に、深い意味はないのだろう。

一般的な意見だ。

それでも、俺は胸がざわつくのを押さえられない。

「―――あいつは普通の女子高生だ。あんまり関わるな」

そう言うと、千尋が目を瞬かせる。

「あ―――すいません、俺寝ぼけてたみたいで―――これからは気をつけるんで」

基本、まじめで素直な男なのだ。

「で―――彼女、名前なんて言うんすか?」

「―――唯菜」

「へえ、かわいい名前っすね」

―――なんとなく、嫌な予感がしていた―――