王子様はカリスマホスト

その日はヘルプに入っていた千尋に、初めての客がついた。

1人でも客が着けば、この店ではヴァンパイアに昇格するというルールがある。

「よかったな、千尋」

「ありがとうございます!凛斗さん!」

嬉しそうにそういう千尋は、興奮して頬を赤らめている。

女の子みたいに可愛い顔をした千尋は、きっとこれからも人気が出るだろうと思わせた。

ヴァンパイア、って柄ではなさそうだけど。

だからなおさら憧れる部分があるのかもしれない。

今日は千尋のお祝い。

ホストも客もハイテンションで飲みまくり、閉店までお祭り騒ぎが続く。


そして、べろべろになった千尋を、仕方なく家へ―――

本当は、これからはあまりあの家にホストは泊らせたくなかった。

これまでと違い、あの家には唯菜がいる。

もちろん、オーナーの姪である唯菜にそうそう手を出すやつもいないだろうけど―――

ホスト連中は、当然のことながらみんなそれぞれタイプは違っても基本、イケメンばっかりだ。

女にも慣れている。

そんな奴らにかかったら、唯菜なんて赤ん坊のようなものだ。

唯菜がホストに惚れる、なんていうことになったら面倒だ。

俺は、唯菜を他の奴に譲る気なんてこれっぽっちもないのだから―――

まあ、今日は仕方ない。

こんなべろべろの状態の千尋を放り出すわけにもいかないし。

そうして2回の部屋のベッドに千尋を放り出し、俺も自分の部屋へ戻る。

しばらくすると唯菜が起きだし、家を出て行く気配。

俺はホッとして、そのまま眠りにおちた―――