王子様はカリスマホスト

俺に捕まり、ばつが悪そうな顔をする唯菜。

そしてそれを見ていた友達の言葉に、俺は固まった。

『あ!従兄のホストさん!』


―――親父の奴。知られたくないとか言っといて、唯菜に追及されたらすぐ言っちまうんだから―――。

もちろん、同じ家に住んでいればばれるのは時間の問題だったけれど―――。

それよりも、俺がホストだと知っても唯菜の態度が変わらなかったというのが意外と言えば意外で。

ホストという仕事に偏見がないのか。

それとも、俺がどういう仕事をしていてもさして興味がないのか―――

そんな俺の睡眠不足を気にする唯菜。

気を使わせたくなくて、思わず口を衝いて出る言葉。

「あれは寝るつもりなくってちょっとうとうとしただけ。その前にあんまり寝られなかったから―――」

唯菜のことが心配で、あまり寝られなかった。

けどやっぱりそうは言えなくて。適当にごまかして、先を歩く。

家に帰り、すぐに2階へ行き―――

なんとなく落ち着かない気持ちで息をつく。

唯菜のことが、気になった。

一見、元気そうに見える。

昨日よりも顔色はいいし、友達とも普通にしゃべっていたし。

特に無理しているようにも見えないのだけれど。

でも、何かが引っ掛かっていた。

どこか―――

違うような気がしてしょうがなかった・・・・・。