王子様はカリスマホスト

その日の昼ごろ、俺は目を覚まし階下に降りた。

「ああ、凛斗。ちょっと出かけてくるから」

俺に気付いた親父が、部屋を出ようとして言った。

「どこに?」

「唯菜ちゃんの学校だよ。きっと今日は、教科書とかいろいろ渡されて、荷物が重いと思うんだ。1人でそれを持って帰ってくるのは大変だと思って・・・・・。まだ体力も、戻ってないだろうしね」

「―――待てよ、それなら俺が行ってくる」

そう言った俺を、親父が意外そうに見た。

「ええ?でも―――」

「どうせ暇だし。重いもの持つなら親父よりも俺の方がいい。親父だと、唯菜も遠慮するだろ」

その言葉に、親父も納得したように―――

「ああ、そうかもしれないな。じゃあ―――頼むよ」

「ああ」

今朝会った時も、まだ顔色が悪かった。

まだ休んでいたって問題ないと思うのだが―――

きっと、慣れないこの家にいるのも、唯菜にとっては居心地が悪いのかもしれない。

両親の死を知って間もない。

気持ちを紛らわせていたいという気持ちも、あるのだろうと俺は思っていた・・・・・。



唯菜の学校へ着き、その校門であいつが出てくるのを待つ。

通り過ぎて行く女子高生たちが、ちらちらと俺を見ては頬を赤らめひそひそと会話を交わしていく。

早く出て来てくれないと、居心地が悪いったらないぜ。

そう思っていた時。

唯菜の姿が見えた。

友達らしきギャル系の子と一緒で―――

俺の姿を見るなり、校舎の方へ戻ろうとする―――

―――何やってんだ、あいつは。

一つ息をつき、俺は唯菜の方へ踏み出した―――。