王子様はカリスマホスト

色白の肌に、ピンクの頬。

瞳は大きく、ドングリのように真ん丸で。

艶やかな黒髪がさらりと肩に落ちている。

小柄で、華奢で。

びっくりするほど『女の子』になっていた唯菜に、俺の心臓は落ち着かない。

そして、まるで幽霊でも見るようにじっと俺を見つめていた唯菜に、俺は柄にもなく緊張しているのを悟られないように、わざとふざけたことを言ってみた。

『―――いいぜ、1回くらい相手してやっても。お子様の相手はしない主義だけど―――今回は特別に、5千円でいいや』

その言葉に、さらに目を丸くする唯菜。

少しからかってやるつもりで顔を近づけてみれば、

『いやっ』

という声とともに頬を思い切り殴られて。

顔を真っ赤にしている唯菜の顔に、ようやく思い当たる。

―――そうか。コンタクトしたままだったから―――

そしてコンタクトを外した俺を見て、まだ信じられないような顔で、マジマジと俺を見つめていた唯菜。

そのまっすぐな瞳に居心地が悪くなって、俺は唯菜に背を向けた。


―――そういえば、これからは一緒に住むんだっけ。

洗面所で1人、溜め息をつく。

従妹とは言え―――

俺は唯菜が好きなのに、この状況はやばくないか?

それでも。

これからの生活に、胸のときめきを感じずにはいられなかった・・・・・。