その方がいい、と内心思っていた。

あたしの中ではいつだって元気でいてほしい。

死んだなんて、思いたくない―――。

「あ、崎本、いた」

後ろから、ひょいと顔を出したのは同じ中学だった石川くんだった。

「先生が呼んでたぜ。ジャージとか教科書、用意できてるから取りに来いって」

「あ、うん。ありがとう」

あたしが立ちあがると、琴乃も一緒に立ちあがった。

「教科書って、全部今日持って帰るの?超重いよ。あたし手伝おっか」

「え―、でも半分くらい置いてっても平気じゃない?みんなどうしてるの?」

「ほとんどの人が置いてってるけどさ、でも後半でしか使わない教科書とかは持って帰れって言われるんだよ」

「そっかあー、それだけでも重そう。でもしょうがないよね」

言いながら、琴乃と歩きだす。

周りには、まだ新しい制服に身を包んだ1年生がそこここで話の輪を作っている。

まだ、同じ中学校にいた子たち同士で話しながらも、徐々に新しい友達もでき始めてる、そんな時期。

緊張しながら隣の子に話しかけたり、かっこいい男の子を見つけては噂しあったり。

なんでもないようなことも、すごく楽しかったりする。

あたしも、そんな中に入っていけるかな。

そんな不安と、期待が入り混じった、緊張感の中、1日が過ぎて行った・・・・・。