「いや―――!死んでない―――パパとママは――――死んでない!」

「唯菜―――お前を、守るから―――叔父さんと叔母さんが安心できるように―――ちゃんと守るから―――だから、うちに戻ろう」

救いたかった。

唯菜を、現実の世界へ連れ戻したかった。

俺が守る。

何があっても―――。

ようやく体から力が抜け、落ち着きを取り戻した唯菜を、俺は家へ連れて帰った。

それまでずっと無言だった唯菜だけれど、もう泣いてはいなかった。

電車に乗っている間もじっと窓の外を見つめ―――

そして家で唯菜を迎えた親父に、弱弱しいながらもいつもの唯菜らしい笑顔を見せたのだった。

その笑顔にホッとして―――

俺は、玄関に2人を残し、自分の部屋へと戻った。

また明日から仕事がある。

それに、久しぶりに大学へも顔を出さなくちゃならない。

今日はもう寝よう。

そう思った時―――

こんこんと、ノックの音。


「入れば?」

親父だと思い、そう声をかけると、扉を開けて入ってきたのは―――

「あ、ごめん、もう寝るとこだった?」

そう言って顔を出したのは、唯菜だった・・・・・。