朝。気持ち良い風が吹く。

ああ、春だからかな。


この穏やかな空気は、正真正銘、春のもの。


「っちーーーーさーーーー」

バタバタ。朝から慌ただしいな。

「お、おはよう!ゆんちゃん!」


…わたしは一瞬、言葉を失う。


「…ちっさ。どした?顔色悪いよ??」


朝一番に見たちっさの顔は、驚く程真っ青で。

本人は何も言わないけど、苦しそうなのが分かる。


「ち、千歳さん…千歳さんは?」


千歳(titose)さんてゆうのは、ちっさのお母さん。

美人で気立てが良くって…


なーんて説明してる場合じゃないしっ!!



もし…もしちっさの病気の進行が進んでるんなら・・・

そう思っただけでも体の震えが止まらない。


恐い。ちっさを失うなんて、考えるだけで。恐い…。



「大丈夫、大丈夫。ほんとに、平気だから…」


そう言ったちっさの顔は、ほんとに真っ青。


「でも、駄目だって。悪化しちゃうかも…」


恐い。ただひたすら、恐い気持ちがわたしを支配する。


「今日は学校休んだ方が絶対いいって!!」


「だめ!行く!絶対行くから!」