わたしの中の何かが音をたてて切れた気がした――



「…ちっさ、本当…?」

あれ?なんか…一気に冷静になったわたし…


今日も授業中に夢は見たけど――

今は起きてるのに、記憶が蘇っていた。


前と同じ状況になるとこだったからかな?

危ない、危ない…


「?」

キョトンとした顔のちっさ。

あれ?わたし…なんかおかしい??


どっからどこまで夢なのか?

あの日の記憶の範囲は一体?



わたしがちっさをまじまじと見てたから――

「あっ、ごめんね?わたしが叫んだから―」

ちっさが弁解をしてきた。


「一緒に帰ろうとして…松永くんにいきなり腕引っ張られて…

 びっくりしてつい叫んじゃったんだ」


不意に松永アツキを見た。

照れた顔に、驚きの表情を隠せない様子。

う~ん、なんて言えばいいんだろー?


なんて野暮なことしか考えれない自分にため息。



「えっと俺がその…も一度神田さんに気持ちを伝えようと…」

ゴニョゴニョと、なにやら呟く松永アツキ。



誰だー?こいつを”遊び人”て言ったやつは。

こんなに純情で照れ屋で素直で一途じゃないか。


「…ごめん…夢見て寝ぼけてた…」


目の前のふたりの顔が、みるみるうちに歪んでく。

そして…


「…っぁはは!!」


なんだか笑われちゃった…。


わたしも軽く苦笑い。

ほんとおかしい…、

つまりさっきまでの話は、全てわたしの過去の記憶だったってことだね。


しかしなんでまたこんな…?


「…ま、いいか」


取り合えず、松永アツキは悪いやつじゃなくて。

わたしがとぼけたバカなやつってダケ…かな?





でも…



あの日の夢を…あの日のことを思い出すなんて…


一体どうして?


ちっさの病気がわかってから、あの日のことは消そうと決めたのに。


そして、完全に消えたと…思っていたのに。



「だめだな…自分」



わたしはその時――心に1つの決意を立てた――