あの日の願い

「まず、あなたは松平甚太郎義春さんで間違えないですね?」



もう一度、願いも込めてそう尋ねる。



「そうじゃな」



しかし、彼はすぐに肯定の意を持って頷いた。



もう、私は信じるしかないんだ。



「ここは、あなたのいた日本ではありません」




「日本では、ない?」



「いえ、正確にはあなたのいた時より後の日本。今は平成という時代です」



「…まことか?」



「私だって、信じたくありません。けれど、あなたはどうやら過去からタイムスリップしてきたようです」



「たいむ…?」



「えっと、時を越えてきたという意味です」



それ以外に説明がつかないのだ。