「火が…?」



彼の話は、歴史上の松平義春の生涯と重なっている。



しかも、地元の人にさえ忘れ去られている武将のことを知っている人がそんなにいるとは思えない。



「そなたとはぐれ、煙の中でもう駄目だと思った時、突然強い光に包まれた。そして、気づいたらここにいたのじゃ」



まさか、でも。



そんなこと信じられるはずがない。



「千代?」



だけど、どうやって確かめる?



彼の話が嘘だと証明するものも、本当だと証明するものも、ここにはないんだ。