「義春さん、あなたの出身は?」



「碧海国じゃ。わしはそこの青野城の生まれ、そなたも知っておろう」



碧海国は、祖父の住む地方の昔の呼び名。



今は、もう名前を変えている。



「今は何年ですか?」



「弘治二年じゃな」



旧国名や元号がでてくるなんておかしいのに、



彼の語る話は、彼の様子から考えても嘘には聞こえない。



「…じゃあ、あなたは何故倒れていたの?」



「…敵対しておった国と戦になったのじゃ、城に火を放たれ、儂はもう死んだと思った」