あの日の願い

急に意識が浮上する。



「義春、さま…?」



私は何故か泣いていた。



彼の手を握ったまま寝てしまったらしい。



時間を確認すると、もう10時。



せっかく作った玉子がゆはすっかり冷めてしまっていた。



相も変わらず、彼はまだ眠っている。



息はしてるから、寝ているだけよね。



起こさないように、そうっと離れる。



洗濯物をしなきゃ、と彼の手を離した瞬間、強い力で抱きすくめられた。