21時を過ぎると、先生の声で解散となった。
「真っ直ぐ帰れよ!寄り道なんかして問題起こしたら、夏休みなしになるからな」
生徒達の背中に向かって、先生は叫んでいる。
返事をする生徒は少数しかいない。
泰葉も片付けを済ませ、帰る支度をする。
「妹尾」
顔を上げると、花火のゴミを持った先生がいた。
「…先生」
「帰り…」
「先生!帰り送ってよ!」
楓が先生の腕に抱き着いた。
「って…妹尾さん。どうしたの?」
楓が、先生と泰葉の顔を交互に見ている。
「一人だけ特別扱いはできないから、早く帰れ」
腕を払いながら先生が言う。
「えー…だって、もうバスないもん」
「は?」
「うち田舎だから、今の時間だと2時間に一本しかないの。9時のバスはさっき出たから、後は11時しかない」
「…はぁ」
「危ないから送ってよ?先生でしょ?」
「…わかったよ…送る」
深く溜息をつきながら言った。
そんなやり取りを、泰葉は黙って見ていた。



