家から出て数分後、先生の車が来た。 助手席に乗りシートベルトを付けたのを確認すると、車は走り出した。 「悪いな…遅くなって」 「いえ…」 泰葉は、シートベルトを握りしめ俯く。 「もう遅いから…あんまり遠く行けないけど、なるべく人が少ないとこにするか。生徒や他の先生に見られると…な」 苦笑いしながら、先生が言う。 「…はい」 目的地に着くまでずっと、泰葉は俯いていた。 また、先生も何も喋らないで運転をしていた。