「麻生のことで頭がいっぱいで、今までお前の気持ちを考えてやれなかった」
喉の奥から絞り出すような声で、先生が話す。
「どんな俺でも、妹尾なら受け止めてくれるって甘えてたのかもしれない」
泰葉の目からは、ゆっくりと涙が零れる。
「けど、お前に"必要ない"って言われたときショックだった。後から冷静に考えてみれば、自業自得だって思えたけどな」
先生の手の中で、泰葉の顔が小さく横に揺れる。
「俺の都合ばかりに、お前を振り回したくない」
優しく頬に触れていた手に、少し力が入ったのがわかる。
「教師でいる限りは、これからもそういうことがあるかもしれない」
先生の表情が切なげに歪む。
「でも、俺は妹尾が好きだ」
「俺のそばにいてほしい」



