「おい、高橋いなくね?」
「到着した時はいたのにね」
「…楓もいなくない?」
他の生徒が、先生と麻生さんがいないと気付き始めたのは、その日の夕食の時間だった。
事情が深刻なため、先生達は"体調不良で帰った"と生徒たちに説明した。
「…本当の事情を知ってるのも、辛いよね」
「そう…だね」
立川と並んでホテルの廊下を歩く。
実行委員の打ち合わせのため、学年主任の部屋に集まることになっている。
「…妹尾さんは、心配じゃないの?」
ドキ
「え…あ…そうだね。麻生さんの、お母さん…大丈夫…」
「そうじゃなくて、高橋と楓のこと」
立川の一言に、泰葉の足が止まる。
「え…」



