「先生…降ろしてください」 「嫌だ」 「誰かに見られたら…」 「もう下校時間は過ぎてる。それに、体調の悪い生徒を運んでやってるだけだ」 「先生…」 泰葉が降りようとするが、先生は余計に力を込めるだけ。 誰もいない廊下を、先生はゆっくりと歩く。 泰葉は黙ってしまった。 しばらくすると、数学準備室の前まで来た。 扉を開けると、すぐに閉めた。 泰葉をそっとソファーに降ろすと、先生は真向かいに座った。