学年全体が移動しているためか、廊下がいつもよりザワザワしている。
「移動の混雑が嫌。話したくても、周りに聞かれるし」
隣にいる香奈が、人の多さにブツブツ言っている。
「あはは…確かに」
人との距離が近すぎて、隣にいる人が何を話しているのか聞こえてしまう。
「楓!良かったね」
ドキン
楓…
隣から、聞き覚えのある名前が聞こえた。
「高橋が担当だから実行委員やるんでしょ?」
ドクン
「…当たり前じゃん!少しでも、高橋と一緒にいたいし」
ドクン
麻生さんの…声…
「マジ、好きだね」
「高橋は、他の男と違うから」
「でも、彼女いるんじゃない?」
ドキン
「あー…」
ドキン
「いないって、高橋言ってたから。大丈夫だよ」
「ラッキーぢゃん!狙え、狙え!」
体育館に入ると、それぞれが自分のクラスの列に並ぶ。
今まで隣にいた麻生達も、自分達のクラスに行った。
「…高橋のやつ」
香奈にも聞こえていたのか、眉間にシワを寄せ怒りのオーラを放っている。
「言えなくても、彼女はいるぐらいは言えよ」
「…しょうがないよ」
皆に秘密なのは…
始めから、わかっていたことだからー…



