「今は?」
「…いるよ」
「本当に!?」
「いたら、悪いのかよ?」
「どんな人!?」
麻生は、触れていた腕を強く握る。
「どんな人って…」
まさか、本当のことを言うわけにはいかないしなー…
「大学が同じだった人だよ…」
小さな声で言った。
「卒業しても付き合ってるの?」
「あぁ…てか、もういいだろ?俺の彼女の話なんか」
溜息をつきながら言う。
「良くないよ!だって私…」
「…麻生?」
俯いて黙ってしまった麻生を、横目で気にする。
車が赤信号で停まった。
今だに俯いたままの麻生。
様子が気になり、助手席に顔を向ける。
「酔ったか?」
「…」
問い掛けにも、反応しない。
「おい…」
麻生の肩に触れようとした時ー…
チュッ
唇に柔らかい感触がした。
「…キス、しちゃった」
ニカッと笑って麻生が言うと、シートベルトを外し、ドアに手をかける。
「先生、またね」
車から降り、夜の街中へ消えて行った。



