「いや~、日曜日のFISH WIFEも良かったよ。ね、咲。」

「うん。でも、そのあと可奈飲み過ぎて、道路で寝てたけどね。西荻窪の。」

「そうそう、あれね。高橋くん起こされなかったら、ずっと寝てたよ。」

「結構いつも寝るよね、道路に。」

「だって、冷たくて気持ちいいじゃん。ほてった体には調度良いんだって。」

「・・・、ていうか、明日あたしたちのライブじゃん。」



あたしたちのバンド、Cherry Coke Highのスタジオ練習は、毎回、こんな他愛の無い話しで、半分以上は終わる。

スタジオは新宿の高島屋の裏手にあるのだが、だいたい近所の居酒屋で飲んでからスタジオに入るので、こんな具合なのだ。


Cherry Coke Higeは、ギターボーカルのあたしと、ベースボーカルのミホと、ドラムの可奈の3人編成。


もともと、可奈がバンドやりたい!というので、始まったから、ハードコア以外、考えられないのだけど。

あたしは普段、ハードコアよりは、HOLEとかQUEEN ADREENAとか、女性ボーカルで、狂った感じのものが好きなのだけど、ギターが弾ければハードコアでも構わなかった。

ミホは、ガレージ系のガールズバンドを好んでいたのだが、やはり可奈に押されてベースで加入させられた。

ミホは学生時代から、吹奏楽部でウッドベース(学生時代はコントラバスと言っていた)を担当していたので、いつかはうちのバンドも!という可奈の思惑が、手に取るようにわかり面白い。